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インタビュー:とにかく明るい安村さん お笑い武者修行で訪台 台湾初公演

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2024年1月27日のライブ

 「安心してください、はいてますよ」の決めぜりふで流行語大賞を受賞した、ビキニパンツ一枚で全裸のように見えるポーズが鉄板ネタのお笑い芸人・とにかく明るい安村さんは、2023年にイギリスのオーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」でファイナリストに進出したことが大きな話題となった。とにかく明るい安村さんは、台湾でも芸がウケるかどうかの挑戦の模様を追跡した番組「TONIKAKU武者修行 in 台湾」のため、2024年1月、訪台。今回、台北経済新聞の副編集長・杉原明日香は最終日3日目の公演が終わった、とにかく明るい安村さんに話を聞いた。

杉原:台湾公演お疲れさまでした。今回に向けて安村さんが中国語を覚えて、練習したのが伝わりました。例えば共演した台湾人芸人との中国語のかけ合いで、相手を面白いと褒める場面で急に中国語が分からないリアクションをして、わざと褒めないくだりがあったり、実は中国語分かっているのではと思わせるような場面があったりしました。

安村:正直中国語は分からないです。ただその場面ではピンときましたね。長年の勘で、ここでこのせりふを言ってはいけないやつだと。

杉原:ちょうど良いタイミングだったので観客も笑っていました。ステージ上では臭豆腐、ズーシエガオ(ブタの血と米を固めたもの)などを食べていましたが、いかがでしたか?

安村:臭豆腐は訪台前に日本での中国語の先生から薦められました。台湾に来てからも薦められましたが、やはり私には駄目でした。臭いが強烈で慣れませんね。

杉原:きょう食べていたのは揚げたタイプのもので、煮たタイプと比べ臭いはマイルドな方です。ズーシエガオはどうでしたか?

安村:そんなに味がしなかったですね。韓国の血を固めたソーセージなど海外でも似たような食べ物を食べたことがあります。

杉原:台湾グルメを楽しんでいるようでよかったです。安村さんが今回台湾で初公演するに至った経緯を教えてください。

安村:これまでヨーロッパへ行ったり、吉本の仕事でアジアは上海に行って公演をしたりしたことがあります。ですが、それぞれ私のネタに字幕を付けてくれていました。アジアではあまり活動していなかったこともあり、今回台湾で、しかも中国語のネタで武者修行しようという流れになりました。

杉原:ステージでは中国語のネタを披露していましたね。中国語を覚えるのにどのくらい時間がかかったのでしょうか?

安村:中国語に手を付けたのは台湾に来る1週間前でした。中国語の先生の下、勉強を始めたのですが、あまりにも難しすぎてその後5日間放置してしまい、一回内容をほぼ忘れてしまいました(笑)。公演2日前になりそろそろやらないとまずいというタイミングで、勉強のメモを見返しました。何とかなるだろうと思っていましたが、何ともならなかったです(笑)。

杉原:安村さんは今回の公演前に台湾のテレビ番組や企業の忘年会、ステージなどでパフォーマンスを披露して、今日が3日目の公演だったとのことでした。台湾公演のネタはどうやって考案したのでしょうか? 歌手「謝金燕(ジーニー・シェイ)」の代表曲「姐姐(ジェイジェイ)」や、8+9(バージャージョウ、チンピラの意味)、高層ビルの台北101など、現地の人しか知らないようなネタもいくつかありました。

安村:台湾現地の芸人にアドバイスを聞いたりしましたね。台北101はステージでお客さんからリクエストをもらって即興でやったネタでした。

杉原:8+9についてはどうですか?実際に見たことはありましたか? 寺の祭りを仕切っているチンピラのような人を指す言葉で、とてもローカルな言葉なのですが…。

安村:実際に見たことはなかったのですが、ステージで8+9と言うとウケましたね。「姐姐」については、中国語の先生に台湾で人気な曲が何かを聞いて教えてもらった曲でした。曲調もよくポーズが非常に取りやすかったです(笑)

ライブでのワンシーン

杉原:いわゆる8+9と言われる人が好むような曲だったので、すごくマッチしていましたと思います。安村さんは昨年11月の中国上海でのステージでは、全身タイツを着て、肌を出さずにパフォーマンスをしていました。それは中国で裸の表現が規制されている事情に配慮した調整だったと思いますが、今回、台湾公演でも台湾人に合わせて調整したところはありますか?

安村:台湾の人には裸がいけると事前に聞いていました(笑)。日本では私は最初から裸で登場しますが、念のため台湾ではバスローブを羽織って、段階を踏んで裸になりましたね。台湾テレビ番組では決めぜりふ「安心してください、はいてますよ」の中国語「別擔心,我有穿内●(●は衣へんに庫)」を、語感が良いように「我有穿●子」に調整しました。

杉原:調整後のニュアンスのほうがマイルドになりますね。安村さんは昨年「ブリテンズ・ゴット・タレント」に出演されて大ヒットしました。活躍の舞台を海外へ移した経緯は何だったのでしょうか?

安村:ガッツリ海外へ移したというわけではありません。イギリスを訪れた時にいろいろなところで活動したいと感じたことがきっかけでしたね。観客のウケも良かったです。

杉原:お笑いで、国境を越えてもウケるジャンルは限られてくると思います。本日共演した漫才コンビ「漫才少爺(まんざいぼんぼん)」のようにボケとツッコミがある場合だと、ネタを中国語化しないといけないですが、安村さんの芸風はウケています。

安村:まあ宴会芸ですからね。宴会芸なら比較的どこでもやすいと思います

杉原:安村さんは先日企業の忘年会にもゲスト出演したとのことでした。台湾の忘年会は芸能人や歌手を招いて盛大に行う風習がありますが、初めて参加してみてどうでしたか?

安村:盛り上がりがすごかったです。普通忘年会は皆行きたくない場所だと思っていましたが、若い人もたくさん参加していて熱気がすごかったです。日系企業の忘年会と聞いていたので、当日は日本語でネタを披露したのですが、あまり通じませんでした(笑)。結局、途中で通訳にサポートしてもらいました。

杉原:台湾のバラエティー番組「女王大人」にも出演したとのことで、日本やイギリスの番組収録との違いなどは感じましたか?

安村:真っ先に驚いたのは、日本だと楽屋に水かコーヒーが用意してあり自由に飲めるようになっているのですが、台湾では差し入れにタピオカミルクティーが配られたことです。打ち合わせ中みんなタピオカをかみながら話し合ってましたね(笑)

安村:ほかにも収録中、その場でBGMや効果音を流していたことにびっくりしました。日本の番組でもやれたら面白いと思います。人のツッコミに「ビャンビャン」とか効果音を入れてみたり…。

安村:日本の言葉を知っている人が多いことに驚きました。MCが日本語で「上手ですね」と言ってくれました。日本に対してフレンドリーだなと感じましたね。

杉原:インタビューはこれで以上となります。台湾の皆さんへ一言メッセージをお願いします。

安村:「別擔心,我有穿内●(安心してください、はいてますよ)!」

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