くらげちゃんという愛称で親しまれる海乃美月さん。2024年7月に宝塚歌劇団の卒業を迎え、大阪万博「クラゲ館」のアンバサダーに就任。今後の活動に注目を集める中、同じ月組の先輩であり、現在は台湾で起業をして宝塚と台湾をつなぐ活動を行う、元男役スター「煌月爽矢」こと中原由貴さんからの誘いを受け、初の台湾でのトークライブショーを実施。
海乃さんと中原さんに、副編集長・杉原がインタビューを行った。イベントを終えた後の思いと今後の活動について語る。
杉原:台北経済新聞の読者に向けて自己紹介をお願いします。
海乃:海乃美月です。宝塚歌劇団の月組に在籍していました。中原由貴さん、(煌月爽矢さん) の後輩に当たります。今回は、由貴さんからの誘いを受け、台湾でファンイベントに参加しました。
杉原:台湾はどうですか? 以前も台湾に来たことはありますか?
海乃:台湾には初めて来ました。ずっと行きたいと思ってたのですが、なかなか機会がなく、今回由貴さんのおかげで実現しました。台湾の方々は温かく、台湾が好きになりました。
杉原:由貴さんが台湾で元宝塚トップスターのファンイベントを開催するのは、2024年6月の真風涼帆さんに続いて2回目となります。今回開催に至った経緯や当日の様子などについて教えてください。
中原:真風さんのイベントでの、台湾の宝塚ファンの歓迎の熱がすさまじくて、それを一人でも多くの宝塚のOGに体験してほしかったのです。海ちゃんと再会した際「興味ある?」と聞くと、「ええ、行きたいです!」と二つ返事で引き受けてくれたため、実現に至りました。
中原:イベントプログラムはトップ娘役だったからこそ、いい意味でも悪い意味でも、型にはまっていたところを解き放つという意味を込め、ファンとの距離をより近いものにしました。新たに試した質問コーナーとリクエストコーナーが好評でした。ファンから海ちゃんに直接質問したり、「私を5秒間見つめてください」「ハグしてください」などのリクエストがあったりしました。
実際のイベントでのワンシーン
海乃さんと中原さんのツーショット
杉原:日本では今回のように距離の近いイベントはなかったのでしょうか?
海乃:日本では公演ごとに「お茶会」という名のファンミーティングがありましたが、ファンの皆さんの前で私がお話しすることがメインで、あまりイベント事を入れていませんでした。今回のイベントみたいに直接触れたり、直接質問されたりすることはなかったので、とても新鮮でした。
杉原: イベントの感想を教えてください。日本と台湾の観客の反応に違いはありますか?
海乃:台湾の方々は気持ちをオープンに見せてくれて、リアルタイムで喜んでくれたことがすごくうれしかったです。直接触れ合えることでファンの気持ちもよく分かったので、つながりが強くなったように感じます。
海乃:日本の方は喜んでくれていても、おとなしくしていることが多いです。後日のファンレターで、こういう場面が楽しかったと教えてくれるため、私は後からそれを知るといったことが多いです。なので、台湾での「きゃーっ」と黄色い声援を間近に受けたことが新鮮で、入場した瞬間からとても楽しめました。今回のイベントでは日本からファンクラブの会員も参加してくれていて、イベントの雰囲気に混ざって一緒に盛り上がってくれていたことがとてもうれしかったです。
実際のイベントでのワンシーン
杉原:2024年7月に宝塚歌劇団を卒業してから、その後の仕事についてお聞かせください。
海乃:卒業してからは、ウィメンズブランド「ADELLY」のアンバサダーをさせていただくことになり、モデル業でスタートしました。
海乃:それから2025年の大阪・関西万博の、日本のシグネイチャーパビリオンにある「クラゲ館」のアンバサダーにも就任しました。そこで外国のお客さまに向けて、日本に来てもらうためのイベントに参加しました。
海乃:その後は、ミュージカルの出演が決まりました。 初めは演劇からちょっと離れようかと思っていたのですが、やはり舞台に戻りたい気持ちが芽生え、3月から5月にかけてミュージカル「ボニーアンドクライド」という作品に出演することになりました。宝塚でも以前取り扱った題材ですが、外部でも公演させていただくことになりました。
杉原:宝塚時代について、海乃さんと中原さんとのエピソードがあれば教えてください。
海乃:由貴さんとは学年が4つぐらい離れていて、宝塚音楽学校は2年しかないため、学校時代を一緒に過ごしていませんでした。宝塚歌劇団に入団後、月組に配属になり、由貴さんは月組での先輩に当たります。それ以降一緒に舞台に立たせていただいてました。
杉原:娘役と男役だと役割が違うのかと思いますが、それでも交流はありましたか?
中原:新人公演という、宝塚歌劇団入団7年目までの出演者のみの公演があり、新人公演のメンバー同士でよく一緒に行動していたので、そこで交流がありました。海ちゃんが来たときに「いちばん下の代にかわいい子が入って来たな」と思ったのを覚えています。
海乃:本当に優しい方だと思ったのが由貴さんに対する第一印象でした。 その頃から由貴さんは大スターだったので、由貴さんと何をするにも緊張していましたが、「全然緊張しなくていいよ」と言いながら何回も練習に付き合ってくれました。お芝居の稽古が遅くまで続いても疲れた顔を見せず、私たちを引っ張る由貴さんの背中を見て、たくさん学びました。
杉原:台湾滞在中に印象に残ったことはありますか? 観光中のエピソード、好きなグルメなどがあればお聞かせください。
海乃:由貴さんに中山エリアを案内してもらった際、飲茶(ヤムチャ)料理の「金品茶楼」の、カニみそ入りショウロンポウがびっくりするぐらいおいしかったです。
海乃:それから「迪化街」の布生地がたくさん売っている「永楽市場」に連れて行ってもらいました。宝塚は卒業しているので、髪飾りを作る必要はなくなったのですが、作ることは大好きなので、生地のお店があったらつい寄ってしまいます。まだ在籍している同期のためになにか作ろうかなと思います。日本ではありえない価格で、すてきな素材の布が大量にそろっていて大興奮でした。
杉原:宝塚では娘役の方は髪飾りを自分で作っていたのですね。このような台北の楽しみ方は珍しく、魅力的です。海乃さんファンの方は要チェックですね。
杉原:先ほどの、大阪・関西万博「クラゲ館」のアンバサダーの仕事について詳しく教えてください。
海乃:パビリオンは「命を高める」というテーマで、クラゲのようにふわふわと揺らぎ、風や波を受ける様子と、人とのつながりをリンクさせ、世界各国の方々との交流を楽しむ場を作ろうとしています。毎回異なる演奏者を2人招き、楽器の演奏で毎日違う雰囲気を楽しめる場所を作り、その時に生まれるものを自由に楽しもうというイベントを企画しています。
杉原:開始後も現地に赴いて何か催しに参加するのでしょうか?
海乃:4月のオープニングイベントに参加予定ですが、詳細は未定です。
杉原:楽しみにしています。最後に台湾のファンの皆さんへ一言お願いします。
海乃:今回、台湾のファンの方や、台湾の街の中で出会った方たち、皆さんがパワフルで明るく、台湾はこんなにもすてきな方々で成り立ってるんだというのをすごく感じました。日本に帰ってからは、この良さをお伝えできるような事ができたらいいなと思ってます。また台湾のファンの皆さんにお会いできる日を楽しみにしています。また台湾に来た際にはよろしくお願いします。そしてぜひ日本にも遊びに来てください。
・イベント名 :海乃美月Special Live Talk Show
・日時:2024年12月8日
・会場:維多麗亜酒店
・主催:煌月藝術文化有限公司
・物品協賛:大拙匠人食品有限公司/春心洋行
・衣装提供:ADELLY TOKYO
・撮影:Kaho Oka