日本を舞台にインバウンドプロデューサーとして活躍している台湾人のWIZさんに、同じくインバウンド従事者である台北経済新聞編集長秋山光輔が独占インタビューを行った。
インバウンドプロデューサーWIZ
秋山:現在日本にお住まいのインバウンドプロデューサーWIZさんが、コロナウイルスの影響もあり、ちょうど母国である台湾に戻っていらっしゃるので本日はインタビューをお願いしました。日本で主にどのようなことをしされていらっしゃるるのでしょうか?
WIZ:東京の飲食店やナイトクラブのインバウンドプロデューサーとして中華圏の人を相手にしたPRやVIP対応、また逆プロモーションで台湾の芸能人であるショウ・ルオ(羅志祥)のアパレルを日本で対日本人に販売するプロデューサーをしています。
ショウ・ルオ(羅志祥)さん、デザイナーのミハラヤスヒロさんと、WIZさん
秋山:インバウンドプロデューサーになったきっかけは?
WIZ:元々日本に住んでいて、ちょうどいいタイミングで声が掛かりました。元々コミュニケーションが好き、人と関わるのが好きだったのですが、それが仕事になりました。RISTIRという、富裕層と芸能人の方が多く来るセレクトショップが東京にありますが、以前はそこの対中華圏PRも担当していました。
秋山:日本に来ている中華圏の人たちは、どのような人が多いですか?
WIZ:日本に来ているのは富裕層が多いと思います。自国で派手にお金を使えない、中国、台湾、香港、シンガポールなどの人たちが多いです。中華圏の富裕層は、日本の富裕層よりもお金を持っている人が多く、お金の使い方が全然違うと感じます。
秋山:中華圏の富裕層は日本人の富裕層とは具体的にどう違いますか?
WIZ:例えば、お酒やご飯の注文の仕方が違います。一度に注文する本数、数量が多すぎて、毎回驚きます。食事は、お店で一番高い物注文して、食べきれなくてもテーブルがいっぱいに埋まる量を注文します。食べることは二の次で、メンツや見栄を最も重視しているという印象を受けます。
秋山:なるほど。では、日本の飲食店は中華圏の富裕層をターゲットにする場合、どのようなポイントを押さえれば来店促進につながると思いますか?
WIZ:分かりやすさが一番のポイントです。中華圏の人にとって日本は外国なので入りやすい雰囲気と、メニューに写真があることもポイントです。Wi-Fiがあるかどうか、外国人にとって注文しやすいかどうか。「外国人におすすめ」のようなPOPがあれば、食べてみようという気になるようです。
秋山:一般層への周知として活用されるブロガーなどの情報はあまり参考にしないですか?
WIZ:富裕層の中国人の人たちは、口コミを一番重視するようです。友達をあまり作りたくない人や、誰にも知られたくない人などはネットで情報を収集していると思います。
秋山:口コミ重視ということは、オフラインの口コミから、WeChatのような割と近しい同士のコミュニケーションツールなども含まれるのでしょうか。
WIZ:そうですね、ただしグループはたくさん存在します。ただ、富裕層にとって信頼が一番大事なことなので、誰でも入れるわけではありません。
秋山:ではそのコミュニティーに参加するコツなどありますか?
WIZ:出会いの中で、話が合うかどうか、信頼できる人かどうかが見極められます。
秋山:WIZさんも富裕層から信頼を得て、今のポジションがあるのですね。では、例えば日本人に人気のすし屋が富裕層の中華圏ユーザーを集客したい場合、WIZさんならどのような手段を取りますか?
WIZ:私なら、影響力のある人に来てもらうのが一番だと思います。僕の培ってきた人脈を生かして、効果的なインフルエンサーをセッティングするのが、僕にしかできないことだと思います。
秋山:何か事例はありますか?
WIZ:アパレルの事例ですが、RISTEIRとショウ・ルオ(羅志祥)さんのコラボイベントを行ったことがあります。ショウさんはweiboのフォロワー数約6500万人の、「中華圏のキムタク」といわれているタレントです。僕のユーチューブチャンネル「with WIZ Japan」でも、そのコラボの様子は動画にしています。
秋山:余談ですが、これまで話していただいたエピソードに登場している富裕層の人たちの資産はいくらくらいかわかりますか?
WIZ:一番の資産家は1兆円ほど、詳しくは答えられないです。プライベートジェットを持っている人も居ます。
秋山:そのような人たちは日本に対して何を求めていますか?
WIZ:おいしいごはん、おいしいお酒、あとは温泉が好きな人も多いです。箱根や北海道が好きで、家を持っている人も多いです。皆さん自国で派手に遊べないようで、日本で発散させている印象です。RISTEIRでは以前試着無しで1回の買い物で500万円分をサラッと買っていった友人もいます。
秋山:ビジネス目線で日本を見ている人もいますか?
WIZ:もちろん、土地やビルを買って商売したい人はいます。でもこだわりも強いようで、例えば駐車場を探しているが、青山・六本木・麻布しか要らない。空きがないので買いたくても買えないそうです。
秋山:新型コロナの流行は影響していますか?
WIZ:台湾の人は特に日本の安全性を気にしていると思いますが、中国の人はそれよりも「東京に行きたい」と言ってる富裕層が多い気がします。飛行機が飛ばないから行けないと僕に連絡が来たりします。
秋山:最後に、先ほど少し話題に出ましたがWIZさんのユーチューブチャンネル「WithWizJapan」の運営はいかがですか?
WIZ:有名人のインタビューや、外国人にあまり知られていない日本の紹介に力を入れています。会員制の場所の紹介や、その会員制の会員になるための方法など、僕ならではの情報を中華圏の人たちに向けて発信したいです。
ユーチューブチャンネル「WithWizJapan」初回ゲストの渡辺万美さんと
秋山:ショウ・ルオさんとのコラボの反響はありましたか?
WIZ:ショウさんが日本語を話してる姿の反響が多かったです。プライベートの話も、他のメディアでは聞き出せない、友人である僕にしか聞き出せない内容だったと思います。
秋山:実はたまたま私もショウさんとWizさんのイベントに参加させてもらったのですが、すごいにぎわいでしたね。これからもますます日本と中国語圏の方々をつなぐカケハシとなっていただきたいです。本日はありがとうございました。
ショウ・ルオさんと全編日本語で対談の様子