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インタビュー:「楽天モンキーズ」川田喜則CEO、チアリーダー「楽天ガールズ」Lindaさん・Airuさん

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台湾プロ野球全5球団のうち唯一の日本企業である「楽天モンキーズ」、その専属チアリーダーである「楽天ガールズ」。CEOで副董事長の川田喜則さんに話を聞いた。

秋山:現在、台湾プロ野球の市場はどのような状況ですか?

川田副董事長:私は日本の球団楽天イーグルスで12年、球場長としての任務を経て、現在楽天モンキーズに携わっていますが、台湾プロ野球市場はこれから成長するであろう魅力があるマーケットだと感じています。今年から1軍に味全ドラゴンズが参入しましたが、球団数が増えるとファン数も増えるので、楽しみなことだらけですね。

秋山:日本との違いはどのような点で感じていますか?

川田副董事長:野球の試合に関しては、戦術に違いはあれど方向性は一緒だと感じています。ビジネスに関しては、昨年私が参入して以来、力を入れているビジネスモデルの一つですが、球団専属チアリーダーの「楽天ガールズ」を生かし、エンターテインメント性があるのが強みです。ファンに近い存在であるチアリーダーとしては日本と変わらない役割がありますが、台湾のチアリーダーは企業とのタイアップなどに強い。日系企業ではドラッグストアのマツモトキヨシが球団の地元である桃園に新店舗を出店した際に一日店長として楽天ガールズを起用し、集客のお手伝いをしました。ローカルに根付いているところが、このビジネスのポイント。
 日本の球団のチアリーダーと異なる部分は、彼女たちは元々自分自身でフェイスブックやインスタグラムなどで自己ブランディングを行い、タレント活動をしている人もいるので、それぞれが万単位でファンを持っています。クレジットカードの楽天カードも、以前楽天モンキーズから3種類のデザインで発行しましたが、楽天ガールズのデザインのものが一番人気でした。

マツモトキヨシ一日店長の様子

秋山:ホームゲームだとファンの熱気をより感じるのでは?

川田副董事長:楽天モンキーズのホームゲームでいうと、コロナ禍で昨年無観客で始まりましたが、現在では50%まで入場可能になりました。チームのサポーターはやはり桃園の地元の人が多く、地元密着としての価値が重要となっています。

秋山:今後の展望については、どのようにお考えですか?

川田副董事長:コロナ明けを見据えた日本との交流を計画しています。現段階ではまだまだ日台間で自由に行き来できない状態ですが、既に日本のいろいろな自治体から、インバウンドマーケティング目的で楽天ガールズを起用したいとの話を頂いており、既に受注いただいたところもあります。この動きを逃さず、在台湾の日系企業のみならず地元密着型の、桃園への日本からのアウトバウンド集客対策に日本向けコンテンツの取り入れを検討しています。例えば、最近新規オープンの多い在台ホテルなどに活用していただきたいですね。

秋山:台北経済新聞読者や楽天モンキーズファンへメッセージをお願いします。

川田副董事長:今は、球場で観戦はできますが、コロナ感染拡大防止目的でスタンド上での飲食は禁止となっています。飲食が全面解禁されれば、日本のフードコートのような食事エリアやバーベキューエリアに、日本の野球文化であるビールの売り子の販売など、たくさんの選択肢を用意しています。ぜひ、何度も足を運んでください。

桃園球場内バーベキューエリア

秋山:ビールの売り子文化がついに台湾でも体験できるんですね。他にも、この球場の特色などはありますか?

川田副董事長:例えば企業などで140席貸し切りで焼き肉や鍋物を食べながらの観戦もできるエリア、VIPルームやスイートルームも用意しています。VIPルームは企業の商品の展示スペースとしても利用でき、現在は家電メーカーのショールームになっています。ショールームとして見るだけでなく、実際にタッチパネルでVIPルームから料理を注文することも可能です。収容人数30人のパーティールームもあり、団体などに利用いただいています。
 企業コラボイベントでは、サントリーの酎ハイのブースを設けてプロモーションを行う「ストロングゼロデー」や、ガスコンロメーカーのイワタニ企画のイベント「イワタニようこそ」のほか、本日はSo-netの台湾進出周年イベントとして、インフルエンサーや歌手を招いてのショーを試合開始前に行います。

VIPルーム

「ストロングゼロデー」のブースの様子

秋山:業種によってタイアップの方法にさまざまな選択肢がありますね。

川田副董事長:球場の中でできるPRもそうですが、球場外で出来るPRにもどんどん力を入れていきたいと思っています。例えば地元企業の尾牙(台湾の春節前に行われる忘年会)に楽天ガールズが参加したり、シーズンオフには選手が地元の小学生と交流するイベントを行ったりするなど、桃園市とパートナーシップを組み、地域に密着した球団を目指していきます。

秋山:仙台の楽天イーグルスの本拠地であるボールパークは、観覧車やホテルなども併設されて、今や球場に試合を見に行くだけではなく家族みんなで遊びに行ける場所になっているようですが、桃園球場がそうなる日も近そうですね。本日は貴重な話をありがとうございました。

 

楽天ガールズのメンバーであるLindaさんとAiruさんにもインタビューを行った。

Lindaさん(写真真ん中)のプロフィール
1994年生まれ。2014年より楽天モンキーズの前身Lamigoモンキーズのチアリーダー「Lamiガールズ」に加入。2016年からはユーチューバーグループ「Wacky Boys」(チャンネル登録者数154万人)のメンバーとして活躍。現在フェイスブックファンページフォロワー数142万人、インスタグラムフォロワー数71.7万人(どちらもID:linda831212)を誇るタレント・インフルエンサー。

Airuさん(写真右)のプロフィール
1991年生まれ。2017年より楽天モンキーズの前身Lamigoモンキーズのチアリーダー「Lamiガールズ」に加入。中学卒業後に日本に留学し、モデルを経て台湾に帰国後、チアリーダーを行いながらタレント活動を行う。現在フェイスブックファンページフォロワー数39万人(ID:airu0307)、インスタグラムフォロワー数5.1万人(ID:airu_0307)。

秋山:楽天ガールズとしては、球場で楽天モンキーズのチアリーダーという役割と、先ほど川田副董事長に伺った球場外でのプロモーション活動をしているようですが、他に普段はどんな活動をしていますか?

Lindaさん:楽天ガールズとしての活動以外では、主にユーチューバーとして活動しています。
Airuさん:テレビ等に出演し、タレント活動を行っています。他の楽天ガールズのメンバーもそうですが、各自タレント活動やインフルエンサー活動を、楽天ガールズとしての活動と並行して行っています。
Lindaさん:今朝もロケを一本撮影してから球場に来ました。他には、ファンの方と交流がしたいので、時間があればほぼ毎日ライブ配信をしています。
Airuさん:インスタグラムのストーリーズもできるだけアップして、ファンの方と交流の機会を多く持てるように努めています。「この子と会いたい、この子の応援ダンスが見たい」と思ってくださるファンの方が多く、試合の度に球場まで会いに来てくださいます。皆さんストーリーズにタグ付けしてくださるので、それを私のストーリーズでも転載して、「応援ありがとう、ちゃんと見ています」と伝えるようにしていますが、転載されるとファンの方はすごく喜んでくれているようです。
Lindaさん:コメント欄で交流してファンの方との親和性も上がるので、インスタグラムやフェイスブックに写真をできるだけたくさんアップするように普段から心掛けています。

試合中に行われるチアリーディングの様子

秋山:これまでに日本に関わる仕事をしたことはありますか?
Lindaさん:台湾のファミリーマートとのコラボや、大阪観光局のタイアップの仕事。野球関連だと北海道で日本ハムファイターズとの交流や、石垣島に千葉ロッテマリーンズとの交流試合のチアリーダーとして行ったことがあります。

ファミリーマートとのコラボ


Airuさん:私は、楽天ガールズとして日本に仕事に行く以外にも、日本に9年住んでいたので日本に非常に親近感を持っています。日本と言えば、コロナ前には、毎週日本から球場に来てくれるファンの方もいたんですよ。名前もしっかり覚えています。
Lindaさん:コロナ前には楽天イーグルスのチアリーダーメンバーと楽天ガールズを2人ずつ交換留学させ、文化交流する計画がありました。コロナが落ちついて再開したら、より日本との距離が近くなるでしょう。

北海道で日本ハムファイターズとの交流の様子

石垣島で千葉ロッテマリーンズとの交流試合のチアリーディングの様子

秋山:今後の夢や展望についてお聞かせください。

Airuさん:球団の応援団長がこれまでは男性だったのですが、今年から女性でもできるようになりました。私の今の夢は、今後、応援団長になることです。
Lindaさん:いつか楽天ガールズを卒業する日が来たら、ゆくゆくは女優やMCとして活動したいですが、今は楽天ガールズの活動を優先しながら、並行して時間に融通の利くユーチューバーとしての仕事を頑張りたいと思っています。
 台湾プロ野球チームのチアリーダー制度は2013年に始まりましたが、楽天ガールズは2016年からマネジメントに芸能人が入り、よりエンタメ性の強いグループとなりました。日本のプロ野球チームのチアリーダーは、野球の応援を専門にしているようなので、この点は日台間での大きな違いだと思います。

秋山:最後に、台北経済新聞読者や楽天ガールズファンへメッセージをお願いします。

Lindaさん:楽天ガールズはメンバーも多くそれぞれに話題性があり、影響力もバッチリです。しかも他のチームにはAiruちゃんみたいに日本語ペラペラのチアリーダーはいません(笑)。
Airuさん:日系企業ということもあり、台湾プロ野球に触れる最初のきっかけが楽天モンキーズだという方もたくさんいらっしゃると思います。ぜひ、桃園の球場まで足を運んでいただき、楽天モンキーズと楽天ガールズの魅力を現地で感じていただきたいです。

秋山:日本企業が運営する初の台湾プロ野球団として非常に今後の動向が楽しみです。楽天モンキーズそして楽天ガールズの今後のさらなる活躍を期待している在台の日本人・日系企業も多いことでしょう。今日はありがとうございました。

 

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