2016年に台北で設立し、技術・学習・学習・コンテンツ創造を一体化するプラットフォームを提供するPressPlay社。昨年10月13日、2023年の新興株式市場への上場を目的に、シリーズB資金調達を完了したと発表した。その事業の一つPressPlay Academy「オンライン学習プラットフォーム」は、動画とAI技術により自宅にいながら学習体験が行える。
3月7日より、日本からローランドさんを講師に招き「自信の哲学」をテーマとしたPressPlay Academyオンライン学習講座を公開する。それに伴い訪台したローランドさんに編集長の秋山がインタビューした。
秋山:コロナ前に初めて台湾に来た際には書店でファンの人に囲まれて著書のサイン会状態になったり、街角で声をかけられたりと、台湾の現地の人と交流があったと思います。台湾の印象はいかがですか? コロナ禍を乗り越え約3年ぶりの訪台かと思いますが、前回と今回で印象は変わりましたか?
ローランド:今回台湾に来てまだ一日しかたっておらず、あまり出かけられていないので印象の違いはまだ感じられていませんが、相変わらず街で声をかけてくれ、いまだに僕のことを覚えてくれていてうれしいです。
秋山:日本と台湾でコロナ禍に関する違いは感じられましたか?
ローランド:台湾の空港での入国時にPCR検査などが必須でなく非常にスムーズだったので、日本よりもアグレッシブな姿勢に感心しました。全体的な印象で言うと、街並みなどは以前と変わらず、気候も暖かく、相変わらずいい国だなと感じています。
秋山:今回台湾に来た経緯を教えてください。
ローランドさん:今回台湾のPressPlay Academyからオンライン講座のオファーを頂き、新しいことにチャレンジしたいという気持ちでやって来ました。日本の人にはある程度認知してもらっている中で、表現者として新しいステップとしてアジア市場への進出を考えていました。2023年には日本以外のマーケットを開拓したいというテーマを掲げており、そのタイミングで年末にオファーが来たので、二つ返事でお受けしました。台湾は元々好きな国だったし、台湾の人たちを共感させる自信もあったので、「やろうぜ」と。
秋山:この講座を通して台湾の人に伝えたいことは何ですか?
ローランドさん:「一回挫折したくらいで諦めるなよ」と伝えたいです。僕自身まだ成功していると思っていませんが、台湾の人は「ある程度成功した人」として僕を見ていると思います。多くの人が「挫折を経験せずにうまくいっている」「あの人は特別だから」と思っているかもしれませんが、今回の講座では僕の過去の挫折についても話しています。そこで「この人も一回挫折しているんだ」「挫折してももう一回違うジャンルで頑張れば上のステージに立つことができるんだ」というメッセージを伝えたいと思っています。
秋山:実は私も、挫折している時にローランドさんの名言に支えられました。私は台湾で11年ほど会社を経営しています。台湾で生活し、台湾人女性と結婚したのですが、2年前に病気で妻を亡くしました。台湾で子どもを一人で育てながら会社を経営しており、辛く挫折を感じていた時にローランドさんの言葉に支えられました。
ローランド:挫折で味わう悔しさから人はネガティブな気持ちになってしまいます。もちろん僕もネガティブな気持ちになることもあります。だけど僕はそれを燃料だと思っています。憧れや欲望よりも、挫折や悔しさの気持ちの方がより遠くに行くための燃料になるので、その燃料を得られたと考えるとポジティブになれます。この講座を通して台湾の人たちの失敗の捉え方を少しでも変えられたらいいなと思います。燃料になるなら心配も悪くないと思えますよね。
秋山:すごく胸に響きます。2年前にコロナのタイミングで会社も大変で妻も亡くなり、どん底だったのですが、それがあったから強くなれたと思うので、今のローランドさんの言葉が非常に響きます。
ローランド:うれしいです。過去は変えられないけれど、過去の意味はポジティブに変えられるということも、みんなに伝えたいメッセージの一つです。
秋山:日本で日本人にアドバイスをする機会はたくさんあるかと思いますが、日本人に伝える場合と台湾人に伝える場合で何か意識していることはありますか?
ローランド:台湾では通訳を介して伝えることになるので、より簡潔にまとめるように心がけています。ただ、僕の話は例え話が多く、通訳するのは難しいと思うので、日本語の内容は100%台湾の人には伝わらないと思います。そんな状況でも相手を感動させられるように伝えることが今回の課題だと思っています。
秋山:名言が中文に訳されて多くの台湾メディアで拡散され、KOLもYouTubeなどで著書を紹介するなど、台湾でも非常に人気なローランドさんですが、国境を超えてもなお自身が台湾で支持される理由は何だと思いますか?
ローランド:台湾の人に、見る目があるんだと思います(笑)。僕は、言葉には医者でも治せない病気を治せるすごい力があると思っています。ただ、僕が言葉で反響を与えられるのは日本だけだと思っていたのですが、翻訳されて海の向こうの人たちまで感動させることができたことは僕にとっては衝撃で、言葉の力をより実感しました。なぜ僕が台湾でも支持されているのか? それは言葉というツール自体に力があるからだと思います。僕は、ホストは言葉で高いお金をもらう仕事だと思っています。言葉を売りにして生きてきて、その言葉に値段がついていくのを見てきましたが、改めて熱意をもってすてきな言葉を使えば海の向こうの人も感動してくれるんだ、と実感しています。その言葉をいいと思える美しい心を台湾の人が持っていたということもありますし、自分自身が努力してきた結果だと思います。
秋山:世界にはいろいろな名言がありますが、ローランドさんの名言は芯まで響くと思います。
ローランド:書籍については、翻訳がうまかったので台湾の人にちゃんと言葉が届いたと思っているので、翻訳してくれた人にも感謝しています。
秋山:最後に日本語を学習中の台湾人読者、台湾で頑張っている日本人読者にエールをお願いします。
ローランド:日本語はすごく難しいと思いますが、日本語にしかない奥ゆかしさや響きがあり、世界有数の美しい言語だと思っています。壁にぶつかって、勉強したくなくなったら僕の名言を思い出して、「自分は今世界有数の美しい言語を勉強しているんだ」という気持ちで勉強を頑張ってほしいです。台湾で頑張っている日本人の方たちは、日本に住んでいないのにこのようにこの記事を読んでいただき、少しでも僕のことを気にかけてくれてうれしいです。これからも台湾で活躍できるように頑張るので、楽しみに見ていてください。