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インタビュー:女優・タレントの大久保麻梨子さんと夫のジェリーさん夫妻、日台夫婦で発信する動画が人気

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 台湾旅行がきっかけで台湾に一目ぼれし移住を決断。台湾生活10年以上で俳優、タレントとして活躍する大久保麻梨子さん。台湾人の夫、ジェリーさんと発信する旅行Vlogや、日台夫婦ならではの生活習慣の違いにフォーカスした動画がユーチューブやインスタグラムでの人気は急上昇している。日台往来がコロナ禍前以上の活況を見せ、今後の盛り上がりに期待が集まる中、台北経済新聞編集長、秋山が大久保麻梨子さんジェリーさん夫妻をインタビューした。

秋山:この機会を借りて、あまり公になっていないお二人の話などを聞かせてください。お二人は7年前に結婚したということですが、近頃はいかがお過ごしですか。コロナ禍が明けて仕事で外に出かけるようになり、ほぼ24時間夫婦一緒にいると聞いています。

麻梨子:そうですね。コロナ禍前まで私は事務所に所属して芸能活動をし、ジェリーは会社勤めで、普段は別々の生活だったのですが、コロナ禍をきっかけに一緒に仕事し始め、現在は公私共にパートナーとなっています。

ジェリー:夫婦がずっと一緒にいるとけんかしやすいのではと友人からよく聞かれるのですが、私たちは意外とけんかしない方です。

大久保麻梨子さんは日台で映画、舞台、テレビなどの業界で活躍

秋山:お二人で家庭と仕事を両立していらっしゃるのですね。以前お二人と食事させていただいた際は、仲むつまじかったのが印象的で、互いに信頼しつつも友達同士のような雰囲気も受けました。

麻梨子:確かに友達のような感覚があります。一番のお友達ですね。

ジェリー:友達のようでないと、365日24時間一緒にいられませんよ(笑)。近頃、貿易関係の仕事で出張があり、久しぶりに麻梨子のそばを離れたことがありましたが、逆に違和感を感じました。

麻梨子:ジェリーは現在独立して会社を経営していますが、リモートでほとんど在宅勤務のため、2人が離れるのは出張の時くらいですね。

秋山:お二人の夫婦関係は以前にも増して深くなっていますね。お二人のなれそめについて改めて教えてください。

麻梨子:私が台湾生活6年目に、仲のいい日本の友人からの誘いで集まった食事に同席していたのがジェリーでした。当時ジェリーは日本で仕事をしていて、たまたま台湾に戻ってきていたんです。食事には初めて台湾に来る日本人もいて、日本語が流ちょうなジェリーは皆に気を配っていました。日本人は採りたての枝付きのライチを食べたことがないという話題になった時、ジェリーが急に席を立ってライチを買いにいったんです。行動派で優しいなという印象でした。

秋山:お二人が仲良くなったきっかけは何だったんでしょうか?

麻梨子:知り合った当初はフェイスブックで友達追加をしただけで、特に何もありませんでした。2年後にジェリーが東京・中目黒の野菜ケーキショップを台北・内湖にオープンしていて、当時ちょうど、ある雑誌からの取材で、お薦めの飲食店を紹介することになった際に、ジェリーの店を思い付き、再び連絡を取りました。取材のお礼に友人も交えて食事することになりました。

ジェリー:ですが、結局友人が当日来られなくなってしまい、麻梨子と二人きりで食事をすることになったんです。後から確認したのですが、友人らのドタキャンは私たちを二人きりにさせるという策略ではなく、たまたまだったとのことでした(笑)。

麻梨子:台湾人は皆でわいわい食事するのが好きなので、二人きりで話すことは珍しく、いろいろな話ができました。

麻梨子:ほかにも、当時体調を整えたくて中医(中国伝統医学)に毎週通っていたのですが、ちょうどジェリーも中医に通っていて、車で迎えに来てくれていました。一緒に半年ほど通院していて、毎週会うことが当たり前になりました。

ジェリー:日本に住んでいた頃、アトピーに悩まされていて、台湾に戻ってきている間に中医に診てもらっていて、麻梨子からお薦めの医師がいないか聞かれていたんです。

秋山:中医となると健康に関係するので、普段のありきたりな話題よりもプライベートな領域にまで踏み込み、お二人が互いをもっと知る良いきっかけになったのですね。

秋山:お二人の間に愛が芽生えたと感じた瞬間はどんな時だったんでしょうか?

麻梨子:ある時、早朝に首をひどく寝違えたことがあり、海外生活だとどこの病院にいったらいいかすぐには分からず、誰か良い病院を教えてほしいとフェイスブックに投稿したことがあったのですが、その時一番に反応してくれたのがジェリーでした。朝早くから迎えにきてくれて、住まいの信義区から距離のある天母地区まで病院に連れて行ってくれました。

ジェリー:たまたまフェイスブックを見ていたんです。私が日本に住んでいた時、周りの日本人の友達にすごく助けられたことがありました。麻梨子は日本人として一人で、台湾で奮闘していたので、その時の恩返しといいますか、なるべく助けてあげたいと思っていたんです。

秋山:大久保夫妻のユーチューブチャンネルは、日台間の文化と習慣の違いを紹介した内容で人気に火が付いています。お二人がユーチューブやインスタグラムのリール動画などSNSを本格的に始めたきっかけは何ですか?

麻梨子:台湾で芸能活動をしていた時期から、日台をつなぐ仕事をしたいと感じ、SNSは個人的にも注力していました。ユーチューブチャンネルも始めたかったのですが、動画編集は手間がかかり、難易度が高いなと思っていた頃、コロナ禍が始まりました。当時、台北市中正区の国家戲劇院での舞台の仕事が急きょ延期になり、時間が空いてしまったため、これもいい機会だと、ジェリーにユーチューブを始めようと誘ったんです。

ユーチューブチャンネル「大久保麻梨子の台湾生活」は日台の観光、グルメ、生活などを発信

麻梨子:1本目の動画は離島の金門島への旅行動画で1年半前に撮りました。初めは私だけ映像に出ていて、今の動画のようにジェリーは出演しておらず、裏方として撮影と編集をしてくれていました。配信していく途中から、私一人だけの動画では味気ないと感じ、ジェリーに声で出演してもらい始めたのですが、ファンから声の存在が誰なのか気になる、もっと露出してほしいとの言葉をいただき、結果二人で出るようになりました。

ジェリー:ファンは麻梨子さんを見に来ていたはずなので、当初私が出演することでファンに嫌がられることが懸念でした。

麻梨子:おかげさまで反響は悪くなく、逆にジェリーをもっと出してほしいとの声もありました。今では二人で外を歩いていると、私ではなくジェリーのファンから声をかけられることもあります(笑)。

秋山:お二人はこれまでにたくさん日本に行ったと思います。今後日本へ行く予定はありますか?

ジェリー:7月に代々木公園で開かれる台湾フェスタに参加予定です(インタビュー時期は7月下旬)。コロナ禍もあり3年ぶりの開催です。今後は静岡や岡山にも行く予定です。

秋山:台北経済新聞を運営するインバウンド会社「CAKEHASHI」は、日本好きな台湾人にプロモーションをしています。今日本の各地方自治体もインバウンド事業に注力していて、東京、大阪、九州、北海道は相変わらず人気ですが、それ以外の地方はどうすればもっと台湾人の人気を獲得することができると思いますか?

麻梨子:日本で仕事をしていた頃、全国各地に行く機会があったのですが、実際に足を運んでみて分かる魅力があって、日本人が意外と知らないことも多いんです。台湾人の中には日本旅行のリピーターも多いはずなので、地方の魅力を知る機会があれば、いつもと違う旅行先に行ってみたいと思う人もいると思います。

ジェリー:最近日本語ができなくても個人旅行(FIT)に行く人が増えています。身の回りで台湾人には珍しく徳島へ旅行に行った人がいました。ネットで良い旅行スポットが見つかれば、行き方を調べて自力で行く人もいます。

麻梨子:以前、台湾のテレビ番組に出演した際、日本の地方で比較的マニアックなお薦めスポットを求められました。そのことからも、地方に旅行に行きたがっている人が多いと分かります。

台湾フェスタは7月28~30日に開催された。大久保麻梨子さんはゲストとして出演

秋山:夫婦2人で長く一緒にいると、仕事や生活上で意見が分かれることがあると思います。日台夫婦のお二人はどう対処していますか?

麻梨子:日台に限らず、誰と結婚したとしても、夫婦がお互い育った環境が違うはずなので、パートナーに対して「察してよ」とは考えないようにし、何でも直接言うようにしています。

ジェリー:すぐ謝ることです。麻梨子は台湾で生活していて、家族は全員日本にいるため、いわゆる一般的な夫婦のように、けんかしたから実家に帰るということが容易にできないため、私はなるべく譲歩するようにしています。

麻梨子:冷蔵庫の中の食べ物を勝手に食べるかどうかということで、意見が分かれたことがありました。台湾人は食べては駄目だと言われなかった物以外は全部食べてもオーケーだと理解し、日本人は食べてオーケーと言われた物以外は全部食べては駄目だと理解する傾向があるようなんです。私が後で食べようと取っておいた物が勝手に食べられてしまうことがあり、日本人にはない考え方だと思いました。友人の日台夫婦でも同様な出来事が起きていたと聞きました。

ジェリー:食べられてほしくないなら、そうはっきりと言わないといけません。麻梨子の考え方に納得はしていませんが、面白い習慣の違いですよね。

秋山:最後の質問です。お二人の今後の活動のプランはどう考えていますか?どんな情報を発信していきたいですか?

麻梨子:日台をつなぐきっかけを配信することが目標です。せっかくユーチューブにも慣れてきたので、今度は地方に足を運び、台湾人に日本のよりディープなところを知ってほしいと考えています。また台湾人は外国人が台湾のことをどう思っているのか興味があるはずなので、台湾在住の日本人にもインタビューしてみたいと考えています。

ジェリー:日台交流に貢献したいです。せっかくのご縁なので、例えば若い世代があまり知らない台湾の歴史、日本統治時代などの話を動画に盛り込んでみたいと考えています。

麻梨子:現代の日本人は、観光地の九イ分や小籠包(ショウロンポウ)という情報は受け取っていますが、原住民文化などもっと台湾を掘り下げたディープで面白い情報が少ないので、それを題材に発信してみたいと考えています。

麻梨子:あと、ジェリーが日台夫婦を増やすため、ユーチューブで台湾男子推進協会会長だと自称しています(笑)。

チャンネル登録数は7月に10万人を突破

秋山:日台夫婦でユーチューブ、さらに芸能活動もしているというお二人のポジションは独自性があり、ブランディングが確立されていますね。

麻梨子:今のところ楽しくやれています。毎週動画を投稿することはとても大変ですが、それを上回るような、うれしい声援をファンから頂いています。

ジェリー:1本たった10分程度の動画ですが、編集には2日かかります。自分で言うのもなんですが、これまでよくやってきたなと自分をほめてやりたいです。

秋山:お二人が楽しみながら動画を配信されていることを、ファンの方たちはきっと感じ取ているのでしょうね。今後もぜひ楽しみながら動画配信を続けていかれるよう応援しています。

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