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インタビュー:台湾に住んで11年 アメブロ公式日本人ブロガーCAMさん

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台湾入国後の防疫隔離政策が10月13日に緩和され、月末にはこれまで運行を休止していた多くの航空会社の日本各都市-台湾各都市間の直行便が復活。日本から台湾へ多くの観光客が徐々に戻り始め、コロナ前の日常が徐々に戻ってくることが期待されている。

旅行のスケジュールを組む際にオンラインで情報を検索する日本人が多い中、台湾に関する情報を検索すると多くのキーワードで、このブログを目にすることも多いのでは。在台湾日本人ブロガーを代表する一人であるCAM(キャム)さん。在台湾11年の台湾旅行のプロCAMさんに、同じく在台湾歴11年の編集長秋山がインタビューを行った。

秋山:まずはCAMさんについて聞かせていただきたいのですが、何故台湾に住むことになったのですか?

CAM:2007年にイギリスに留学していたのですが、そこで今の夫である台湾人男性と友達として出会いました。留学終了後にそれぞれ帰国し、日本と台湾で文通していたのですが、ある日、「東京に行ってみたい」と手紙が来て、東京での再会を約束しました。私は当時名古屋に住んでいたのですが、東京で集合して再会を果たし、付き合うことになり、2011年に配偶者ビザをとって台湾に入国しました。

秋山:そこからどっぷり11年、台湾に住み、結婚生活も台湾に浸かりながら、日本語で台湾の情報を日本に向けて紹介しているのですね。

CAM:夫の義理の家族は高雄に住んでいるので、台湾人と結婚した他の夫婦に比べると義理の家族との交流は少ないかもしれません。ブロガーになったきっかけは、当時台湾に来る日本人向けの、台湾人が経営している旅行会社に就職した時に、若いからという理由からウェブ担当になり、会社のブログを担当することになりました。しかし、途中から制度が変わり、それまで週5回私が担当していたブログの執筆を会社のみんなで回すことになり、週1回しか担当しなくなったことでネタが余ってしまったのです。その余ったネタで、自分でブログを始めてみようかなと思い今に至ります。

秋山:2011年頃は日本も台湾もブログ市場の成長期~成熟期あたりでしょうか、当時日本語で台湾情報を発信している個人ブログはあまりなかったので、大変いい機会だったと思います。私もこの頃から台湾に移住したのですが、知人から「台湾って香港?」みたいに言われたこともあります。そう考えると台湾情報を発信しているブロガーさんという枠で言うと、かなり古株ですよね。

CAM:私より先にブログを書いている人もいらっしゃいましたが、帰任したりで期間限定的だったんです。さらに、その時代は顔出しされているブロガーさんがほぼいなくて、インスタグラムもユーチューブも活発じゃない時代だったので、台湾インバウンドをPRしたい地方自治体と私のブログのニーズがちょうどマッチしました。

秋山:台湾の地方自治体も、配偶者ビザをお持ちで台湾人と同じ条件で仕事を依頼できるので、他の外国人よりもCAMさんを起用しやすかったということもあるかもしれませんね。地方自治体から声がかかったきっかけは何ですか?

CAM:「旅々台北」というメディアの契約ライターをしていて、メディアの横のつながりなど、人脈ができたことがきっかけです。

秋山:台湾のテレビ番組、グルメ番組などにもいろいろ出演していますね。

CAM:そうですね。この3年コロナで日本から取材に来られないから現地調達しなければならなくなったことで出演が増えました。グルメ、旅に関する情報をメインに発信しています。

秋山:ブロガーをしていて良かったと思うことはありますか?

CAM:読者の方からブログが役に立ったと言われた時に思います。アメブロのメインユーザーと世代が同じなので、ニーズに合った情報を発信できているのかなと思います。ただ、ブロガーをしていると、すぐに「このネタをブログに載せよう」と思っちゃうことが時々嫌になります。楽しむことよりもブログに縛られているなと感じることもあり、家で何を食べるにしても絶対写真を撮っているので、ハッとすることもありますよ。笑

秋山:アメブロは特にスマホ版の管理画面が操作がしやすく、WordPressなどと違って簡単にインスタグラム感覚で書けますもんね。

CAM:自分でプラットフォームを運営している人たちのブログは構成がしっかりしていてすごいと思います。アメブロの場合、写真1枚で「今日のランチ」って感じで気軽にアップできますもんね。

秋山:アメブロのランキングでは、アジア全体でかなり上位を取っていますね。しかもアメブロ公式ブロガーなのでアメトピにも頻繁に掲載していますね。

CAM:1日2回を目標にアップしていて、アメーバニュースには週5回くらい掲載されています。

秋山:ブログではどういった記事の反響が多いですか?

CAM:グルメ情報ですね。特に昨年は、タピオカの現地からの情報がすごく読まれていました。

秋山:コロナの影響もありましたが、現在の読者の温度感はいかがですか?

CAM:コメント欄から、台湾に行きたい欲がとても伝わってきます。台湾通の読者の方が多く、「あのじめっとした空気を吸いたい」なんてディープなコメントもありました。

秋山:台湾ロス症の人たちのコメントが多かったのではないですか?

CAM:そうですね。台湾ロス症の人たちは、日本国内で台湾探しをされていたようです。台湾に関するちょっとしたイベントを自身で組んでいる読者の方もいらっしゃいました。

秋山:日本国内でも、タピオカミルクティーのDIYキットとかも売られていましたよね。次のブームは何だと思いますか?

CAM:仙草ゼリーがじわじわ来ているかなぁ、と感じています。愛玉(オーギョーチ)に似ていて、ゼラチンとかではなく自分で固まるゼリーですね。台湾では、夏に飲むと火照りをとってくれると言われています。あとはタロイモですね。タロイモ同盟というハッシュタグを作って発信していますが、まだどーんとブームは来ていないです。タロイモは暖かい東南アジアでよく食べられていますが、台湾と違う食べ方をされているようで、かき氷にのせたりするのは台湾ならではの食べ方です。タロイモペーストと生クリームのシュークリームやタロイモミルクなど、ミルク系のものと掛け合わせるのが最強だと個人的に思っています。基隆の有名なタロイモ屋さんが日本に進出したというニュースも見かけました。

秋山:私は湯圓(タンユェン)がはやればいいなと思っています。ゴマやピーナツのテイストがおいしいなと。

秋山:台湾生活が長いかと思いますが、今後台湾がこうなればいいのにという希望などありますか?どんな風に変われば日本人観光客がもっと来ると思いますか?

CAM:交通が安全になればいいのにと思います。私は在台生活11年で1回しか事故をしたことないのが奇跡と思えるくらい、交通事故が日常茶飯事だなと。

秋山:確かに、バスの扉がまだ閉まってないのに出発するときは危ないなと思います。

CAM:バスはとても便利なので、日本の方にも安心して利用してもらいたいなと思います。台湾が世界的観光大国になるためには交通面での安全がポイントですね。台湾の人って性格はとても優しいのに、運転すると性格が変わる人が多いですよね。安全第一で、降りる人が優先される文化はいつ根付くんだろうと思います。ポスターでの喚起はされているのを見かけるので、今後、交通意識が変わればいいですよね。なので、日本人の方が台湾に観光に来る際、日本は歩行者優先だけど台湾は車優先、バイク優先なんだという意識を持って、バス旅を楽しんでくださいね。後は、台湾は安全とはいえ、外国であるという意識持って、夜市など人の多いところでは身の回りに気をつけましょう。運転の方向が違うので右左右の確認も逆になるのも盲点です。これらに気をつけながら、バスやMRTを利用して台湾旅行を楽しんでください。

秋山:逆に、台湾人と結婚して、台湾人としてローカライズした生活をしていて、日本に行く台湾人旅行者を見てどう思いますか?日本がもっとこうなればいいのに、と思う点はありますか?

CAM:日本の人たちは外国人にもっと慣れた方がいいですね。私の地元のケースで、セントレアの次の次の駅にイオンモールがあって外国の来店客が多いですが、慣れていなさすぎて外国の人の注文を聞けてない店員さんを見かけたことがあります。後で聞いてみると「英語を話せないから外国の方に対してどう対応したらいいか分からなかった」と言っていましたが、空港の隣でそれなのはどうなのか?と当時思いました。実家に帰っているあいだ間によく感じますね。外国人を特別扱いする必要はもちろんありませんが、避けるのもかわいそうですよね。

秋山:台湾の人から、日本へ行って日本人に冷たくされた話などを聞くと悲しい気持ちになりますね。不親切ではなくて慣れていないだけなのに、と。

CAM:台湾だと外国人に特に優しく接してくれるのでより一層そう思うようになったかもしれません。台湾だと、外国語で外国人に声をかけたりして突出した人を見かけると「すごいね」って褒める文化ですよね。台湾人は他人へ優しくすることに恥ずかしさがないなと思います。日本だとまだ冷たい目で見られるようなところもあるかもしれないので、指差しマニュアル的なものを準備しておくと、さりげなく親切にできるのでいいかもしれません。どこかがそのような行動を取ると、どんどん広がっていくと思うので、外国人に対して構えず、指差しマニュアルなどから対応を始めてもらえれば、きっかけは指差しでも習慣になり話しかけやすくなると思います。

秋山:CAMさんにとって台湾は住みやすいですか?

CAM:とっても住みやすいです。エビの皮までむいてくれるほど台湾の方は優しいですよね。衛生面も気にして、日本では他人の食べるエビの皮をむくことはないと思いますが、それくらい人に何かをやってあげるハードルが低く、優しい人が多いと感じています。

秋山:台湾人と結婚して何か感じることはありますか?

CAM:今思うのは、結婚自体が国際結婚というよりは、夫と私のことなので、特に国際結婚という概念は持っていません。以前は思っていたこともありますが、ある日から「この人と私の問題だ、日本人同士でも起こりうる差異だ」と思うようになりました。

秋山:他の海外と比べると文化的なギャップが少ないから、そう思えるのかもしれないですね。

CAM:見た目もほぼ同じアジアの人ですしね。特に日本の女性と台湾の男性は合うんじゃないかと私は思っています。台湾に住みたいと思っている女性読者の方も多いんですよ。そうだ!秋山さん主催でそのようなイベントをやってみたらどうですか?以前取材に行った高雄のバナナ農家さんの息子さんが未婚ということで、誰か紹介してほしいと親御さんに頼まれたことがあるんです。なので、インスタグラムに載せてみたら「嫁ぎたい」というコメントが多くて。台湾に住みたい人はかなり多いと感じています。

秋山:日本人女性と台湾人男性は相性がいいと僕も思います。日本から旅行に来た女性が異国の地で出会う、まさにドラマの「路」のようなストーリーは非常にいいですね。

CAM:台湾には日本の漫画やドラマが好きな層の人がたくさんいるので、とても需要があると思いますよ。アフターコロナにマッチング企画など、ぜひやってみてください!笑

秋山:もし企画するなら、情報発信をお願いしますね。

秋山:今後も台湾で生活するかと思いますが、夢や展望はありますか?

CAM:以前は自分のガイドブックを作りたかったですが、今はコロナを経て「健康に生きられればそれでいい」と思うようになりました。日常の幸せを改めて感じています。ガイドブックへの熱が落ち着いたので、ブログ執筆活動を続けながら慎ましく生きていきたいなと思っています。

秋山:これから多くの日本人観光客が来ることが期待されるので、CAMさんのガイドブックが実現したら、それを見て500万人くらいの人が台湾に来てくれると思いますけどね。笑
ここ7、8年で日本人の台湾への印象って本当に変わったと思います。今後も有益な情報をブログでたくさん発信していただき、より多くの日本人の方に、私たちが愛している台湾へ足を運んでいただきたいですね。ありがとうございました。

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