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インタビュー:元・宝塚宙組トップスターの真風涼帆さん 今年6月に自身初の台湾イベント開催

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 台湾にも多くのファンを抱える宝塚歌劇団。その宙組でトップスターを5年7カ月務めた真風涼帆さんは昨年6月に宝塚を卒業。ミュージカルやコンサートなど公演活動を積極的に続ける中、今年6月には宝塚音楽学校時代の同期生で、台湾を拠点に宝塚OGを招聘(しょうへい)したイベント活動に取り組む中原由貴さんの誘いを受け、真風さん自身初となる台湾でのイベントを開催した。今回、イベント開催を控え、台湾入りした真風さんと中原さんに、編集長・秋山がインタビューを行った。

秋山:真風さん、よろしくお願いします。今回真風さん自身初となるイベント開催ということですが、これまでにも訪台したことはあったのでしょうか?

真風:よろしくお願いします。以前、宝塚時代に星組の観劇のため一度訪台したことがありましたが、台湾でのイベントは今回が初めてとなります。

秋山:今回のイベントが実現したきっかけを教えてください。

真風:宝塚を退団した後、阪急交通社からファンとの旅行イベントを企画しないかという話がありました。それと同時期に台湾で活躍している中原さんとも何か企画できないかと話をしていて、今回、ファンの皆さんと一緒に台湾旅行に来て、かつ台湾の宝塚ファンの方々とも交流できるイベントを実施することになりました。

中原:実は今回、現役時代に台湾に来て公演をしたことのなかったOGが、台湾でイベントをするという史上初の取り組みなんです。チケットは発売からわずか3分で売り切れました。台湾のファンの皆さんが、真風さんが台湾に来ることをとても楽しみにしていることが伝わりました。

中原:阪急交通社のツアーを利用して、日本からも真風さんのファンが参加するため、当日は国を超えたイベントとなります。プログラムはトークショーやハイタッチ会、抽選イベントなどのほか、真風さんによる歌の披露もあります。宝塚の楽曲のほか、kiroro(キロロ)の代表曲「未来へ」の冒頭部分を劉若英(レネ・リウ)さんが中国語カバーした「後來」バージョンで歌うなど、中国語にも挑戦します。

台湾イベント当日の様子

中原由貴さんとのツーショット

秋山:真風さんと中原さんの共通の思い出はありますか?

真風:宝塚時代、中原さんは月組、私は宙組と所属する組が違ったため、一緒に作品を作ったり、休みの日に遊びに行ったりする機会は、実はなかなかありませんでした。ただ、5組が集結する「タカラヅカスペシャル」という年に一度のイベントなどのタイミングで共演したり、一緒にご飯を食べたりしました。卒業後も、またこうして一緒に仕事ができる機会があることがとてもうれしいです。

秋山:真風さんは5年7カ月トップスターとして活躍してきました。スターに選ばれる条件があるのでしょうか?

真風:スターに選ばれるのに、明確な条件は言われていません。芸歴が長ければスターになれるというわけでもないため、演者は日々自分と向き合い、努力を積み重ねています。

中原:真風さんと私は宝塚音楽学校92期の同期生で、その中でも真風さんは身長も高く、初めから人気があり、劇団から一早くスター路線だと認められ、育てられてきました。もともと星組に配属されていたのですが、スターになると、組間での人事異動というのが時折あり、宙組への組替えを経て、トップスターにまで上り詰めました。トップスターになるのは本当に難しいことなんです。

秋山:真風さんがトップスターとして活躍し続けるためにしてきたことは何でしょうか。

真風:やはり、食生活など健康管理を徹底していました。宝塚では、次々と出演する演目のスケジュールが決まっていて、体力配分や精神面のケアが重要となります。一番真ん中にいる人に元気がないと、周りのキャストにも影響が及ぶため、特に健康に気をつけていました。コロナ禍など時代の影響もあり、より真剣に自分の健康に向き合っていました。

秋山:宝塚音楽学校時代から厳しく健康管理をしていたのでしょうか?

真風:実は全然でした(笑)。下級生の頃は自由でみんな好き勝手やっていて、食べたいものを食べてました。

秋山:宝塚では厳しい生活を送っているイメージもありましたので、話を聞いて、かえってホッとしました(笑)。真風さんが宝塚に入りたいと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

真風:母がバレエダンスの講師で、私は習い事としてダンスを習っていたのですが、中学時代に宝塚が全国ツアーで来ていたのを観劇したことがきっかけで宝塚に興味を持ちました。中学卒業後に宝塚音楽学校を受験した際、他の受験者や先輩方を目の当たりにして、さらに宝塚に入りたい気持ちが強くなりました。受験は2回落ちたのですが、かえって火が付きました。

秋山:宝塚の舞台に初めて立った時の心境はどうでしたか?

真風:シンプルにうれしいなという感覚でした。自分が客席で見ていた舞台が、舞台上からはこう見えるのかと、喜んでいたのを覚えています。

秋山:台湾と日本でファン層や好みに違いはありますか?

中原:日台で違いはあまりないと思っています。ファンの男女比は日本と台湾いずれも女性が多数で、男役に恋している方が多く、男役に対して理想的な男性像を求めていると思います。まるで漫画の世界から飛び出してきたような理想の男役で、バーチャルな世界だとも言えます。そしてそれこそ、宝塚が持つ魅力でもあります。

中原:宝塚には、アイドル系やフェミニン系などさまざまなタイプの男役がいる中で、真風さんは「大人の男」を演じられる人なんです。

秋山:確かに真風さんの退団会見の動画を見た際、すごくかっこよくて感動しました。目力が強くとても説得力があり、お話を聞いてて勝手にうなずいている自分がいました(笑)。

秋山:真風さんや中原さんが今後挑戦してみたいことはありますか?

真風:異国の地で同期が奮闘している姿を見て、刺激をもらいました。機会があれば今後も海外の仕事にも取り組んでいきたいと思っています。

中原:今後も宝塚のOGを台湾に招待してイベントを開催したい思っています。宝塚はニッチですが、とても深く、ファンの方はすごく好きでいてくれるため、今後もこのようなイベントの需要はあると感じています。

秋山:最後に、台湾のファンへ向けてメッセージをお願いします。

真風:今回不思議なご縁で台湾に来てイベントを開催することができて、かつ参加したいと思ってくれるファンがたくさんいらっしゃって、大変うれしく思います。台湾には日本と宝塚を愛してくれている方が多く、台湾が今後、私にとっても特別な国になる予感しかありません。今回の機会にとても感謝しています。

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