台湾を拠点に台湾人に向けて中文で情報を発信している台湾在住日本人ユーチューバーのIku老師が10月末にアップした動画で、8月25日に花蓮市で開催した「和っ祭」の様子を公開した。花蓮市民から「日台交流を通じて花蓮の経済を盛り上げてくれてありがとう」「あの日の感動が蘇る」などコメントが寄せられている。
2024年4月3日に花蓮東方の沖合で気象庁マグニチュード7.7の大地震が発生。台湾では1999年の921大地震以降で最大級の地震となった。震源地である花蓮県内での被害が大きく、9階建てのビルや住宅などの倒壊、太魯閣国家公園の落石などによる死傷者が発生。花蓮県から台北へ向かう最短ルートにある下清水橋が崩落し、蘇花公路では少なくとも9カ所で落石があり、道が閉鎖されるなど被害が大きく、その後の観光客激減などにより観光都市であった花蓮は経済面でも大きな打撃を受けた。
そこで、Iku老師は自分が青春時代に夢中になった太鼓や日本の伝統芸能で花蓮の人たちを元気づけ、同時に日本から来たパフォーマーたちが花蓮を訪れることで、花蓮は危ない場所ではないということを伝えられるのではないかと考え、花蓮市政府に提案。花蓮市長と花蓮市政府の賛同を得て、いち早く思いを届けるために3カ月という短い期間で準備を進め、花蓮市民が憩いの場として集まる花蓮文化創意産業園区を舞台に企画。入場は無料で、会場に出店した地元商店のブース費用を無料にし、花蓮の経済振興のために自費でカバーしながらチャリティーイベントを開催した。
Iku老師は「2011年の東日本大震災をはじめ、2024年の能登半島地震の際も、日本が災害や困難に直面したとき、台湾はいつも真っ先に手を差し伸べ、心温まる支援を送ってくれた。その深い絆と感謝の気持ちを伝えるため、また少しでも恩返しができればと思い、今回の祭りを開催することを決意した」と話す。
Iku老師が学生の頃に一緒に太鼓をたたいていた柳川さん率いる「和太鼓三宝会」を日本から招き、台湾からはIku老師に賛同した日台混合和太鼓パフォーマンスグループ「奏流Taiwan」、日本人三味線奏者志甫一成さん、台湾住みます芸人「漫才ボンボン」、日台混合バンド「八得力」、日本人書道家SOYAMAXさん、台湾伝統芸能パフォーマンスグループ「洄瀾境」、地元の宜昌小学校太鼓楽団などが参加し、パフォーマンスを披露。日本人パフォーマーと台湾人パフォーマーのパワーを融合させた演出で来場者は大いに盛り上がり、太鼓体験コーナーでは来場者に和太鼓のたたき方を教え、大人から子どもまでが和太鼓演奏を楽しんだ。
ステージパフォーマンス以外にも、Iku老師の復興支援の思いに賛同した台湾KIRINビール、日本酒販売の友士のブース、花蓮の県産品のブースが会場を盛り上げた。
会場には魏嘉賢花蓮市長も来場し、約2000人が来場。地震発生以降に花蓮市で開催されたイベントとして最高動員数を記録した。
Iku老師は「これからも、私のチャンネルでは台湾と日本がより良い関係を築いていけるよう、それを自分の子どもたちにつなげられるように思いを込めて配信していきたい」と意気込む。来場者や動画のコメント欄では、「またぜひ来年も和っ祭2を開催してほしい」などの声が見られる。