数々の童謡を残した詩人・北原白秋の波乱に満ちた半生を、音楽家・山田耕筰との友情と共に描くヒューマンドラマ「この道」が5月31日の台湾公開に合わせて、山田耕筰を演じるEXILEのAKIRAさんが来台。そこでAKIRAさんを単独インタビューしました。
-今回の映画「この道」の撮影での特徴やこだわりなどあればお聞かせください。
映画「この道」の佐々部清監督の作品は日本の映画界でもとても有名で、さまざまな名作を残していらっしゃる巨匠です。そんな佐々部清監督の作品に初めて出演させていただきました。京都の撮影所での撮影では、昔から伝わるたくさんの技術を持っていらっしゃるスタッフの皆さんと撮影で関わることで、改めて日本映画の作り方というか、日本映画の美しさ、こだわりというものを学びました。
-今回の映画で最も工夫したシーン、またはこだわりのシーンはありますか?
楽器を使うことです。今回は天才音楽家「山田耕筰」を演じるに当たって、バイオリン、ピアノ、指揮、音楽家としての心持ちや心得を、どううまく自分なりに捉えて表現できるかを意識しました。バイオリンの演奏シーンについても、どうしても自分で奏でた音をスクリーンに残したかったので、自分でやらせていただきました。
-「この道」という歴史ある歌を今回の映画をきっかけに改めて自分の歩んできた「私の道」を振り返るいい機会を、この映画から頂きました。山田耕筰ではなく、AKIRAさん自身の中にも「この道」があるかと思いますが、山田耕筰を演じたAKIRAさん自身が「この道」を表現するときに思い描いた思い出があれば教えてください。
童謡とは本当に不思議なものです。本来とてもシンプルな楽曲に聞こえるのですが、その中にいろいろなメッセージやリズムがあります。特にその中でも「からたちの花」は、指揮する中で気付いたことがあります。聞こえはとてもシンプルなのですが、リズム感が変則的なのです。山田耕筰が、なぜ天才と言われてきたか、という意味が少し分かった気がしますし、今もし、山田耕筰が生きていたら、どのような楽曲を作るんだろう。そう思うくらい、そんな魔法のかかった曲ばかりです。
私も今回の映画を通して、「この道」や「ちょうちょ」を聴いていると普段の生活では蘇らない子どもの頃からの淡い思い出が蘇ってくるんです。例えば、からたちの花の中にある歌詞の「お母さまと馬車で行ったよ」という部分。自分自身にはそういう過去のシチュエーションが無かったにしても、そのフレーズを聞いた時、自分が幼少期の頃、手を引かれながら歩いた地元の町や匂いや夕日などを思い出したりしました。そんな思い出がふと蘇ってくる、それがやはり童謡の素晴らしさであり、童謡の軸の部分なのかなと思います。
今回の映画を台湾の方々にご覧いただくことで、台湾の方々が思う台湾の先人たちの曲や自分たちの心に残る曲を、次の世代の方たちに思いを込めて伝えていっていただければ、この映画が童謡100周年目に生まれた意味があるのかなと思いますし、きっと山田耕筰にも北原白秋にも喜んでいただけるかと思います。
-この映画を通して「リズム」が一つのキーワードになっていると感じました。日々ダンスやパフォーマンスをされているAKIRAさんも「リズム」を意識されていると思いますが、日常生活でリズムを生かして行っていることがあれば聞かせてください。
リズムとは生活に欠かせないものですね。「生活のリズム」というくらいですし…。芝居やダンスの中にも、それぞれのリズムというのがあると思います。劇中にある「君の詩にはリズムがあるんだ」というセリフは名言だと思いました。
山田耕筰と北原白秋が手掛けた作品は日本にもたくさんありますし、海を越えて海外にもたくさんあります。改めて今回の映画をきっかけに日本の音楽の基盤を作り上げてきた2人がいるということを、この世界の方々にも知っていただきたいと思いました。リズムというのは、音楽にとっても、生活にとっても、そして人生にとっても、とても必要なことだと思います。
-AKIRAさんにとって台湾や台湾の方々の印象を聞かせてください。
台湾の方々はとても優しくて思いやりがあって、何か懐かしい日本やふるさとを思い浮かべる、私にとって台湾はそんな温かい場所です。海外に来て「懐かしさ感じる」というのは、他の国には無いことかもしれません。いつも台湾に来る度にそう感じさせてくれる場所です。
-台湾での一連のプロモーションが終わって日本に帰られたら、EXILEのメンバーに伝えたいことなどありますか?
まずはEXILEのATSUSHI君です。この映画では本当に素晴らしい歌声で童謡「この道」を歌い上げてくれました。今回、海を越えて台湾でもATSUSHI君の歌う「この道」が響き渡っていた、ということを伝えたいです。少し話がそれますATSUSHI君は今回に限らず、これまで「ふるさと」だったり「赤とんぼ」だったり、さまざまな昔の名曲をライブで歌ったりしていて、とても日本の楽曲を大切にしています。
そうしたATSUSHI君が今回童謡100周年というタイミングで、映画の主題歌を歌い上げるのは、本当になるべくして成った流れだと思いますし、主題歌をメンバーが歌い上げてくれて、その作品を自分が演じることができることが非常にうれしいです。そんなATSUSHI君に、まずはお礼を伝えたいです。
-今回、台湾で召し上がった台湾料理などあれば聞かせてください。
ベタですけど、タピオカミルクティーは仕事の合間に飲ませていただきました。
-台湾の方にとって日本は観光地としてもかなり有名で、毎年たくさんの台湾の方々が日本に遊びに行っています。インバウンドという言葉が盛ん使われる時代になりましたが、「音楽ライブ」も海外の方から注目されるインバウンド、観光コンテンツの一つで、台湾からEXILEのライブを見に行く方も少なくないと思います。そんな背景もありEXILEの「台湾公演」を切望しているファンの方も多いのではと思います。「いつかそれは実現するかも?」と台湾のファンの方々は期待していると思われますが、AKIRAさんいかがでしょうか?
EXILEトライブも若い世代から僕らの世代まで、たくさん仲間が増え、その中でのコラボレーションもしていますので、いろいろな形で(台湾公演の)きっかけも増えてくるとは思います。恐らくLDHの中では初めてだと思いますが、登坂広臣(TOSAKA HIROOMI)が7月にアリーナ公演を行います。今までやっていなかったアジアでのライブを登坂が先陣を切ってくれるので、そこからEXILEだったり、ジェネレーションズだったり、三代目だったり…どんどん続いていければと希望しています。
また台湾での話ですが、EXPGが今年で10年になりました。そんな台湾から生まれたEXILEのDNAを受け継いだアーティスト「MAGMA」というグループが台湾で活動しています。そういった若い世代の方々にも頑張ってほしいと思います。
-そんな訪日台湾人観光客の方、日本に旅行に来てくれている台湾の方々に向けて、AKIRAさんが思う「日本に来たら、ここには行った方がいいよ」というオススメの場所などがあれば教えてください
(EXILE事務所がある)東京の中目黒辺りです。(花見で有名だとお聞きしましたが)そうですね。桜はきれいですし、他にもショップなどたくさん面白いものがあります。自分たちのホームタウンに来ていただき楽しんでいただけるとうれしいなと思います。
映画「この道」を台湾の方に見ていただいた後に、100年歌い継がれてきた日本の童謡を改めて知っていただきたい思いもありますし、何より台湾でも数多くの有名楽曲があると思うので、台湾のふるさとというような台湾の楽曲を台湾の次の世代へも伝えていくため、この映画がいいなと思う方々は自分たちのふるさとにも歌を伝えていけたら、この映画が生まれた意味があると思います。ぜひ、そういう観点で楽しんでもらえれば。
-ありがとうございました。