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インタビュー:台湾最大級のSEO企業「awoo Intelligence」林思吾CEO

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 2015年に台湾で設立されたawoo Intelligenceは、台湾市場においてSEOとEmail配信の分野で業界シェアトップのMarTech企業。2017年8月にはシリコンバレーの上場企業創業者より投資を受け、同年、10人以上のAI科学者を率いるAIラボを設立。グローバル展開を見据えて2018年2月、awoo Japan(現awoo)を設立し、2019年4月、awoo Japanを本社へ登記変更している。今回、編集長の秋山が運営する台湾法人カケハシコーポレーションと業務提携し、新SEOサービス「訪日観光SEOパック」を展開することを発表。これを記念し、CEOの林思吾さんにインタビューを行った。

秋山:awoo社の創業のきっかけについて教えてください。
 
林:弊社は現在のAIのソフトウエアを提供する前、コンサル会社でした。当時私たちはこのコンサルティングのノウハウをもっと普及させたいと考えており、ツールを通じてサービスを、より多くのユーザーに使っていただけるよう、2015年にawooを立ち上げました。われわれは誰もが自由に使える「デモクラティック(民主的)」であることをモットーとしています。それまで培ってきた経験とノウハウを生かし、SssS(サース)サービスを提供するようになりました。
 
秋山:事業について聞かせてください。
 
林:例えば小売業をしている企業がECサイトを立ち上げた場合、そのECサイトへの流入(トラフィック)はもちろん重要です。そしてそこからお客さま満足度(CS)の向上やUIの最適化などを踏まえて、リピーターを作り込んでいく。そういった一貫性のある仕組みの構築をワンストップ「awoo AI marketing perform」サービスを通じてオールインワンでECサイトに提供しています。
 
秋山:御社のサービスを利用することで何が実現しますか?
 
林:1つ目は、SEO経由のトラフィックが増加します。2つ目はCVR (コンバージョンレート)と顧客満足度が向上します。最後に顧客のライフタイムバリューを引き上げ、リピーターの獲得を可能にします。
 
秋山:特にEC市場で導入されていると思いますが、今後、世界のECやSEO産業はどのように進化していくと思いますか?
 
林:これまで大手のメーカー等のDtoC(Direct to Consumer)の企業はAmazonや楽天市場など大手プラットホームに商品を卸しているケースがほとんどでした。しかし、今後は自社で構築したECサイトをほとんどの会社が立ち上げ、直接自社で販売するメーカーが増えるのではないかと予想しています。自社構築型のサイトの方がビッグデータを取得しやすく、分析や解析を自社で行うことにより、その後データの活用が必須になってきているからです。

秋山:Amazonや楽天市場のようなモールやプラットフォームは縮小傾向となり、今後はそれぞれが独立した自社サイトを持つということですね。
 
林:そこで、私たちはプラットフォームでこれまでに収集した販売データを分析して独自の自社サイトにどのように生かすことができるかをアドバイスすることもサービスとして提供しています。今後もどんどん独自型のEC市場が盛り上がっていくと思っています。
 
秋山:大手ECモールでの参入だとモール自体にトラフィックがあるので、開店時からキャンペーンなどもうまく使い集客できる場合もありますが、収集したデータを活用して広告を配信する場合、データの活用先がモールごとに制限されているので、自社サイトなどのような外部に持ち出せなくて困っています。この悩みを抱えている日本のECショップは大変多いのではないでしょうか。
 
林:日本では楽天やZOZOなどモール型のショップが力をもっている印象が強いですね。

秋山:台湾のSEO会社としても歴史が長いと聞いておりますが、ご紹介いただけますか。
 
林:弊社はマーケティングにおいても、ウェブサービスを提供する会社というジャンルにおいても、常に先駆け、その業界をリードしています。他社がこれまでやっていないことに前衛的にチャレンジしています。
 
秋山:私の日本の友人からもawooさんの話が出たこともいくつかあります。日本でも広く知られているんですね。
 
秋山:日本支社設立とその活動背景や今後の展望についてお聞かせください。
 
林:会社のグローバル展開を考えたときに、進出先としてはアメリカとアジアを検討していました。中国は特殊なマーケットですので、それを除いて考えると、やはりアジアでは日本がもっともチャンスがあるのだと考えました。ユーザー数も多く、優秀な起業家も多いので市場が盛り上がっていると感じており、日本に支社を設立しました。日本のZ世代のこれから活躍していく若者たちが、awooに入社したいと思ってもらえる会社でありたいです。日本のマーケットにおける会社の立ち位置としては、「透明化」「多様化」をキーワードとしています。今後、日本のデジタル化が進む中で推進していきたいです。
 
秋山:弊社は日本の観光を台湾にPRする事業を、台湾で約11年やってきました。インフルエンサーとのタイアップやウェブ広告運用などさまざまなインバウンド施策を行ってきましたが、インバウンドにとっても今後はSEOが非常に重要な役割を果たすのだろうと感じています。台湾人が日本の衣食住や体験など、日本の観光情報を検索した時に「必要な情報が正しい形でキャッチできる」…これはとてもシンプルで消費者にとっては必要なことだと感じます。ぜひわれわれインバウンドの市場でもawooさんと協業できることを心待ちにしています。

林:こちらも今後の提携を楽しみにしています。
 
秋山:影響を受けた世界の経営者はいますか?
 
林:日本の稲盛和夫さんです。書籍「敬天愛人」の精神に影響を受けました。提携するパートナーを大事にするということです。
 
秋山:会社を経営する中で一番やりがいを感じるのはどんな時ですか?
 
林:クライアントの成功した顔を見る時、また会社の仲間がどんどん成長しているのを感じる時です。
 
秋山:個人的なことですが、今一番努力していることやハマっていることなどあれば教えてください。
 
林:ブレークダンスです。あとは日本語を書く練習をしています。日本語を書くのは難しいです。
 
秋山:私も、実は高校時代にフリースタイルのダンスをやっていました。
 
林:僕の場合、娘がブレークダンスを習いたいと言い出し一緒に始めたのですが、娘は既にやめてしまい、結局、僕だけ引き続き練習しています。
 
秋山:最後に社長の夢について教えてください。
 
林:台湾のみならず世界で、EC市場をけん引していく存在になることです。

秋山:本日はお話ができて大変光栄でした。今後デジタルマーケティング市場はAIの到来でこれまで以上に進化し、われわれ人間が変化を求められるタイミングなんだと感じています。
国境を超えて挑戦する林思吾CEOの熱意あるトークで、私自身も胸が熱くなりました。
ありがとうございました。

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