台湾南部の塩田文化をアートで伝える「2026一見双雕芸術季」が7月31日、台南市の七股塩山と北門・井仔脚瓦盤塩田で始まった。8月1日には七股塩山で塩の彫刻「塩雕」の開幕式が行われた。
「一見双雕芸術季」は、交通部観光署雲嘉南浜海国家風景区管理処が毎年開催する夏の観光イベント。七股塩山で展示する塩の彫刻「塩雕」と、北門・井仔脚瓦盤塩田を舞台にした光のアート「光雕」の2つの「雕」を一度に楽しめることから「一見双雕」と名付けられている。
長年にわたり雲嘉南地域で開催されてきた同イベントは今年、交通部観光署が選定する「2026-2027台湾観光双年暦」の全国規模イベントにも選ばれた。七股塩山と井仔脚瓦盤塩田は、同署が進める「北回之巓旗艦計画-微笑南湾in台湾」でも重要な観光スポットに位置付けられている。
今年のテーマは「発現塩裡的光(塩の中の光を見つける)」。これまで行ってきた人気キャラクターなどとのコラボレーションから趣向を変え、地域の学校や住民と共に作り上げた作品を中心に、塩田のある町の暮らしや文化を紹介する。
8月1日の開幕式には、立法委員や台南市議会議員の関係者、台南市政府、台湾塩業(台塩)、観光関連団体などから関係者が出席。式典を行い、約1カ月にわたるイベントの幕開けを祝った。
七股塩山の屋内に設けられた塩雕会場には、白い塩を素材に作られた大小さまざまな作品が並ぶ。塩雕作家の王松冠さんが手がけた作品をはじめ、嘉義高商の生徒らとの共同制作作品など、地域の暮らしや風景を題材にした展示を見ることができる。
今年は作品を鑑賞するだけでなく、五感を使って地域の塩文化に触れられる展示も取り入れた。海や港の食文化をテーマにした「塩感餐卓」のほか、自然由来の香りを楽しめるエリアなどを設置。会場内では、雲嘉南浜海国家風景区管理処のキャラクター「黒皮(ヘイピー)」による音声ガイドも利用できる。
もう一つの会場となる北門・井仔脚瓦盤塩田では、日没後に「光雕」を展開する。地元アーティストの曾進成さんが雲嘉南地域の要素を取り入れて制作したコンテナの蛍光アートをはじめ、地域住民との共同作品や、塩田を光で演出する歩道などを設置。来場者が光のペンを使って自由に描ける参加型の展示も用意する。
開幕日の七股塩山では、「風吹七Go」凧(たこ)フェスティバルも同時開催した。今年は「太空冒険(宇宙アドベンチャー)」をテーマに、全長15メートルの宇宙船や18メートルのスペースシャトル、宇宙飛行士や宇宙人などをモチーフにした凧が空を舞い、親子連れなどでにぎわった。8月15日・16日には、動物をテーマにした「ペットパーティー」を開催する。
七股塩山では、天日塩作りの体験や園内を走るミニトレインなども楽しめる。売店では塩アイスキャンディー、塩にがりコーヒー、塩にがり豆花、コラーゲン入り塩ソフトクリームなど、塩を使った飲食メニューも販売する。
イベント期間中の土曜・日曜には、塩せっけんや台湾南部を代表する魚・サバヒーのつみれ作り、クロツラヘラサギをモチーフにしたランタン作り、蛍光マスクの絵付けなどの体験企画を数量限定で実施。ジャグリングやマジック、シャボン玉などのパフォーマンスも予定する。
会場を巡るスタンプラリーも行う。七股塩山の塩雕会場、北門・井仔脚瓦盤塩田の光雕会場、北門洗滌塩観光工場、七股ビジターセンターの4カ所でスタンプを集めると、塩こうじを使った食品や塩せっけんなどの関連商品と交換できる。景品は計600セットを用意し、なくなり次第終了する。
交通部観光署雲嘉南浜海国家風景区管理処の洪瑞鴻科長は、日本人旅行者の来場も歓迎するとした上で、「七股や北門には塩田の風景だけでなく、子どもと一緒に楽しめる体験も多い。日本から台湾を訪れる家族にとって、新しい親子旅行の選択肢になれば」と話す。
一方、七股や北門は台南市中心部から距離があり、車を利用しない旅行者にとってはアクセスが課題となる。同管理処では、現地の旅行会社「首航旅行社」と連携した「CHANGEライトトラベルプラン」を用意する。
同プランは3人以上から催行し、台南市街地または台湾高速鉄道(台湾新幹線)台南駅から車で観光スポットを巡る。七股塩山の塩雕と四草緑色隧道のボートを組み合わせた午前コースは通常1人1,500台湾元で、イベント期間中は半額の750台湾元(約3,500円)。北門の光雕と神農街、海安路芸術街を巡る夕方のコースも設定する。
七股塩山と北門の両会場を一日で巡るコースでは、サバヒーのつみれ作りや塩にがり豆花作りなど、地域の食文化に触れる体験も組み込む。公共交通機関だけでは回りにくい台南沿岸部を車で巡ることができ、レンタカーを利用しない旅行者にとっても市街地から足を延ばす選択肢となる。
「2026一見双雕芸術季」は8月30日まで。七股塩山の塩雕と北門・井仔脚瓦盤塩田の光雕を中心に、期間中の週末には各種体験やイベントを行う。8月22日には北門ビジターセンターで「仲夏音楽会」も予定する。